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短編「雨宿り」の中の詞は以下の六つです。



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     雨宿り

   狐の嫁入り 雨こんこん
   お日様照るのに 濡れまする
   お空の雀も 濡れまする
   濡れた雀は 可哀相
   お日様照るのに 風邪を引く

   狐の嫁入り 雨こんこん
   お日様照るのに 濡れまする
   お屋根もみんな 濡れまする
   濡れたお屋根の その下に
   濡れた雀が 雨宿り

   狐の嫁入り 雨こんこん
   お日様照るのに 濡れまする
   濡れたお屋根は そのままに
   濡れた雀を 抱きなされ
   風邪を引くなと 抱きなされ



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     群ら千鳥(むらちどり)

   千鳥よ千鳥 群れ飛ぶ千鳥
   風が強いに 疲れはせぬか
   川面を走る この風を
      翼窄(すぼ)めて 耐えるのか
   千鳥よ千鳥 鳴き飛ぶ千鳥
   風に疲れて 休まぬものか
   川面を避けて この岸に
      翼畳んで 降りぬのか

   千鳥よ千鳥 群れ行く千鳥
   速い流れに 転びはせぬか
   早瀬を渡る この波を
      指を踏ん張り 耐えるのか
   千鳥よ千鳥 鳴き行く千鳥
   流れに負けて 休まぬものか
   早瀬を抜けて この淵に
      脚を畳んで 浮かばぬか

   千鳥よ千鳥 群れ立つ千鳥
   冷たい水に 凍えはせぬか
   岩に砕ける この飛沫(しぶき)
      濡れるがままに 耐えるのか
   千鳥よ千鳥 鳴き交う千鳥
   寒さを嫌って 休まぬものか
   飛沫(しぶき)を避けて この藪(やぶ)で
      片足抱いて 眠らぬか

   千鳥よ千鳥 耐え抜く千鳥
   風切る羽が 折れたりせぬか
   水切る脚も 萎(な)えぬのか
      いつまで忍ぶ 群(む)ら千鳥
   千鳥よ千鳥 応えよ千鳥
   せめて一時 休まぬものか
   そなたの姿に 瞼(まぶた)も潤み
      心哀(かな)しく 沈むぞや



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     鳩の子子鳩

   鳩の子子鳩 円(つぶ)らな瞳
      瞳に写る 白い雲
   雲の随意(まにま)に 彷徨(さまよ)う子鳩
      母さん鳩を 探すやら
   母さん鳩を 知らぬか雲よ
   行方定めぬ 白雲(しらくも)よ
   翼休める 術(すべ)をも知らず
      彷徨(さまよ)う鳩ぞ 哀(あわ)れなる

   鳩の子子鳩 疲れし子鳩
   雲を褥(しとね)と 思うてか
   止むなく閉じる 円(つぶ)らな瞳
      翼止(とど)めて 舞い落ちる
   心あるなら 漂う雲よ
   舞い落つ鳩を 抱き留めよ
   その目を開けぬ 子鳩よ哀(あわ)れ
   母さん鳩は 今何処(いずこ)

   鳩の子子鳩 眠れる子鳩
      雲の褥(しとね)に 抱(いだ)かれて
   母さん鳩を 求めて行かん
      雲の随意(まにま)に 赴(おもむ)かん
   行方定めぬ 漂う雲よ
      せめて心に 止(とど)め置け
   開かぬ瞼に 母さん鳩を
      写す子鳩の 心根を

   鳩の子子鳩 目覚めし子鳩
      重い翼で 羽ばたかん
   雲の腕に 抱き留められて
      命永らえ 今ここに
   求めし姿 瞳に写し
      舞い立つ鳩や 勇ましき
   母さん鳩の 風切羽(かぜきりばね)に
      引かれ子鳩は 飛び立ちぬ



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     甘えん坊烏(あまえんぼがらす)

   お寺の瓦光ってる
      夕焼け空に光ってる
   真っ赤な瓦照らしてる
      夕焼け空が照らしてる
   夕焼け空は何を見る
      お寺の屋根に何を見る
   烏の赤ちゃん甘えてる
      お里がいいと甘えてる
   山の古巣は寂しいと
      お里がいいと泣いている
   母さん烏は困ったが
      赤ちゃん烏に言ったとさ
   山の古巣で父さんが
      お前を待って鳴いている
   早く帰れと鳴いている
      父さん烏が鳴いている
   赤ちゃん烏は考えた
      父さん烏の優しさを
   いつも変わらぬ優しさを
      胸に優しい温(ぬく)もりを
   赤ちゃん烏は突(つ)っ突(つ)いた
      母さん烏を突(つ)っ突(つ)いた
   早く帰ろう母さんと
      父さん烏が待つ家へ
   山の古巣のあの家へ
      母さん烏と帰りましょ
   父さん烏が待つ家へ
      母さん烏と帰りましょ



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     紅葉や紅葉(もみじやもみじ)

   紅葉(もみじ)や紅葉(もみじ) あかちゃにきいろ
   紅い葉散った 黄色も散った
   茶色い葉っぱも散りました
    緑の葉っぱは忘れんぼ
    時が来たのに気付かぬか
    寒さが気にはならぬのか
    秋風強く吹いたなら
    緑の葉っぱも思い出す
    これはしまったしくじった
    頬を赤らめ 秋風に
    時が来たねと言うでしょう

   紅葉(もみじ)や紅葉(もみじ) あかちゃにきいろ
   紅い葉散った 黄色も散った
   茶色い葉っぱも散りました
    お猿の赤ちゃん指を差し
    川に流れる紅い葉を
    取ってくれろとせがみます
    お猿の兄さん手を伸ばし
    紅い葉っぱを採りました
    黄色い葉っぱもありました
    茶色い葉っぱも浮いていた
    みんなさらって集めます

   紅葉(もみじ)や紅葉(もみじ) あかちゃにきいろ
   紅い葉散った 黄色も散った
   茶色い葉っぱも散りました
    お猿の兄さん濡れた手が
    凍えるようだと母さんに
    涙浮かべて駆け寄った
    お猿の母さん兄さんの
    お手手に息を吹き掛けて
    寒いのどっかへ飛んで行け
    優しくそっと撫(な)でました
    頬を摺(す)り寄せ摩(さす)ります

   紅葉(もみじ)や紅葉(もみじ) あかちゃにきいろ
   紅い葉散った 黄色も散った
   茶色い葉っぱも散りました
    お猿の父さんやって来て
    美味しいものを見つけたと
    紅葉(もみじ)の葉っぱを食べました
    紅葉(もみじ)はすっかりなくなった
    お猿の赤ちゃんそれを見て
    食べちゃ嫌だと泣きました
    お猿の父さん困るほど
    大きな声出しだだこねた

   紅葉(もみじ)や紅葉(もみじ) あかちゃにきいろ
   紅い葉散った 黄色も散った
   茶色い葉っぱも散りました
    母さん猿は撫(な)でていた
    兄さん猿の手を見せて
    この子のお手手が可哀相
    濡れたお手手が冷たいと
    父さん猿に訴えた
    父さん猿は驚いて
    紅葉(もみじ)を一杯狩りました
    枝を揺すって採りました

   紅葉(もみじ)や紅葉(もみじ) あかちゃにきいろ
   紅い葉散った 黄色も散った
   茶色い葉っぱも散りました
    赤ちゃん猿が喜んだ
    こんなにあると手を叩く
    兄さん猿も嬉しそう
    やっぱり父さん凄(すご)いんだ
    こんなに沢山採ったんだ
    母さん猿は微笑(ほほえ)んで
    父さん猿にキスをした
    父さん猿は照れました

   紅葉(もみじ)や紅葉(もみじ) あかちゃにきいろ
   紅い葉散った 黄色も散った
   茶色い葉っぱも散りました
    父さん猿が言いました
    こんなに沢山あるのなら
    少しは食べていいだろう
    赤ちゃん猿は考えた
    みんなで食べれば美味(おい)しかろ
    赤ちゃん猿が頷(うなず)いて
    みんなは紅葉(もみじ)を食べました
    仲良く揃って食べました



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     故郷を、故郷へ(ふるさとを、ふるさとへ)

   鶴が舞う カオ−カオ−と 鶴が舞う
   愛しい人よ 此処にあれかし
   翼広げて 鶴が舞う
      一声で ただ一言の 呼び声で
      力の限り 思いを告げて
      鶴が舞う 心のままに 鶴が舞い飛ぶ

   鶴が鳴く 凍えはせぬと 鶴が鳴く
   熱い心根 見せたいものと
    吹雪堪(こら)えて 鶴が鳴く
      恋い焦がれ 募る情けの 遣(や)る瀬(せ)無(な)く
      思いの丈を 君聞けよかし
      鶴が鳴く 心震わせ 鶴が鳴き上(あ)ぐ

   鶴が飛ぶ 北へ行かんと 鶴が飛ぶ
   愛する子等よ 此処が故郷(ふるさと)
   暫(しば)しの別れと 鶴が飛ぶ
      忘るなよ この懐かしき 湿原を
      心の奥に 深く抱きて
      鶴が飛ぶ 故郷(ふるさと)離れ 鶴が飛び行く



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